ストレスを力に変えて、ひとりひとりのウェルネスに貢献する

2019年1月、滋賀大学発ベンチャー第1号「株式会社イヴケア」が生まれた。少量の毛髪でストレス関連物質を分析できる技術を元に、毛髪が健康を予測する新社会の実現を目指す。同社の代表取締役CEOは、滋賀大学教育学部研究科修士課程2年(当時)の五十棲計氏、取締役に同大学教育学部准教授の大平雅子氏、教育学部教授の芦谷道子氏を迎えて創業した。
学生の決意が大学を動かした
2017年7月、大平氏は企業との共同研究につながればと、当時ラボの学生だった五十棲氏を聴講者として連れだって第2回滋賀テックプラングランプリに参加。その場で研究者達が本気で世の中を変えようと奮闘する姿に感化された五十棲氏は、修士課程への進学と創業を決意することになる。 翌年7月に開催された第3回滋賀テックプラングランプリでは五十棲氏がファイナリストとして発表し、パナソニック アプライアンス社賞を受賞。9月に東京で開催されたバイオテックグランプリでは竹中工務店賞、日本ユニシス賞を獲得した。その後、臨床心理学を専門とする同大学の芦谷氏が創業メンバーとして参画。その躍進は滋賀大学の位田元学長をも突き動かした。ベンチャー認定制度を有していなかった滋賀大学は、たった数か月の間でベンチャー認定制度を整え、2019年1月には第1号ベンチャー企業として株式会社イヴケアが誕生することとなった。
毛髪から”ココロ”をみつめる
イヴケアでは、大平氏の技術をもとにした「毛髪からの慢性的なストレス評価」、芦谷氏の技術から生まれた“ストレス評価後の適切な支援”を組み合わせた事業を展開している。2020年には滋賀県近未来技術社会実装推進補助金を活用し、就労者200名に対してストレスチェックサービスを提供。ここで取得したデータをもとに指標開発を行い、2021年には、チームや集団、組織のメンタルヘルスの改善を目指す“イヴケアパック”のサービスを開始した。地元滋賀では、プロバスケットボールチームである滋賀レイクスターズとも連携し、選手のメンタルヘルスのケアサポートにも取り組んでいる。 今後はより多くの企業にイヴケアのサービスを知ってもらい、事業開発を進めていくフェーズになる。「優しい眼差しに満ちたWell-beingな社会」を実現するための挑戦はまだこれからだ。
滋賀テックプランター vol.06 (2022年7月 発刊)

