昆虫“も”食料にすることで 誰も傷つかない「食の生産システム」の実現へ

「日本をはじめとする先進国であっても、今の食生活が明日も保証されているわけではない」。そう話すのは、カンボジアにて先進国の食糧生産のために途上国の資源が搾取されている現実を目の当たりにした松居佑典氏。世界中の誰も傷つかない食の生産システムの構築に挑むため、株式会社BugMoを立ち上げた。
目指すのは文化の醸成
世界的人口増加による食糧不足の問題に対し、昆虫の食品や飼料分野での産業化による貢献の可能性は2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)からも公表されており、食用の昆虫養殖技術開発を行うベンチャー企業も世界で生まれてきている。一方で、株式会社BugMoがビジョンとして強調するのは、単に昆虫養殖技術の開発をしたいわけではないという。「私たちは、昆虫食が世界の食糧問題をすべて解決できるとは思っていません。昆虫(Bug)“も”日常の食の選択肢に入ることにより、持続的で豊かな食文化が醸成されることを目指しています」と話す。
「作って売る」を形にすることが研究課題
ウシ、ブタ、トリがタンパク源として確立しているのは、生産技術に関するノウハウが蓄積されていることが大きな要因の1つだ。食用資源としての昆虫の地位確立に向けて、BugMoではコオロギ養殖技術の確立とノウハウ蓄積のために、滋賀県愛知郡にパイロットファームを設立した。病害やコストを意識しながら、最適な生育環境の検討や自動化に向けた研究を重ねている。また、2018年11月には、インターネット販売を中心に、コオロギパウダーを練り込んだプロテインバーの販売をスタートした。今後は、機能的な栄養成分の分析や、購入者からのフィードバックも踏まえながら食味や食感の改良を行い、「食べやすさ」「受け入れられやすさ」の向上を目指していく。商品開発を中心的に担う共同創業者の西本楓氏(代表取締役COO)との2代表制を採用しているのも、「作る」「売る」の両輪を回していこうとするBugMoの姿勢の現れだ。
仲間を増やし、多角的に昆虫食を浸透する
商品の販売開始に伴い、メディアへの露出増加も相まって、BugMoへの協力者が増えてきている。エンジニアリングやファイナンスに強いメンバーや、機能性の研究・解析についてのアドバイスをくれる研究者が仲間になった。また、これまで海外で行っていたパウダーからバーに加工する工程を、国内で行ってくれるパートナーが見つかり、2019年5月からは国内での加工・製造が始まる。BugMoが掲げ、様々な人の手によって育まれ始めた新たな食文化、今後どのように浸透していくのかが楽しみだ。
滋賀テックプランター vol.03 (2019年5月 発刊)

株式会社BugMoが開発・販売中のコオロギプロテインバー